内分泌代謝ネットワーク医学

研究グループの名称

内分泌先制医療学寄附講座

研究室主任および研究室メンバー

研究室主任:田中 正巳 平成3年卒

専門

糖尿病、内分泌、高血圧

1991年3月 東北大学医学部卒業1
1991年4月 東京女子医科大学第二内科 研修医
1993年9月 筑波大学応用生物化学系遺伝子実験センターに国内留学
1996年8月 東京女子医科大学第二内科 助手
1996年9月 米国Vanderbilt大学生化学教室に留学
1999年9月 みさと健和病院 内科
2003年9月 みさと健和病院 内科副部長
2006年4月 天理よろづ相談所病院 内分泌内科 医員
2009年9月 慶應義塾大学医学部 腎臓・内分泌・代謝内科 特任助教
2012年4月 慶應義塾大学医学部 腎臓・内分泌・代謝内科 特任講師

免許・資格

医学博士、日本内科学会認定内科医・認定内科専門医、日本内分泌学会内分泌代謝科(内科)専門医・指導医、日本医師会認定産業医、日本糖尿病学会専門医・指導医、未病医学認定医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本高血圧学会認定専門医

  • 小林 佐紀子 平成10年卒

研究のメインテーマ

生活習慣病、内分泌疾患の先制医療を開発するための基礎・臨床研究

研究概要

生活習慣病は時間経過に伴って多彩な合併症を併発し、重症化することにより制御が困難になる。内分泌疾患は初期は特異的症状に乏しく、糖尿病、高血圧、脂質異常症などのcommon diseaseとして見過ごされることがあるが、症状が顕在化した段階では管理が困難になる。したがって、これらの疾患には時間軸を意識した対応が必要である。当グループでは、時間経過とともに多彩な病態を呈する糖尿病、内分泌疾患の各ステージにおける病態の解明、病態に沿った治療法の開発をテーマにした基礎、臨床研究を行う。さらに、時の流れに逆行して病気のremission、regressionを目指す医療や、発症前まで時をさかのぼって病気を発症させない先制医療を目指した研究を行い、健康長寿と社会福祉への貢献を目指す。

代表的論文の紹介

Itoh H, Kurihara I, Miyashita K, Tanaka M. Clinical significance of ‘cardiometabolic memory ‘: a systemic review of randomized controlled trials. Hypertens Res 40(6): 526-34, 2017
血糖、血圧、脂質に対する強力な治療介入をやめた後も心血管イベント予防効果が持続するという臨床試験の成績より、‘cardiometabolic memory’や‘legacy effect’といった概念が提唱され、その臨床的意義が注目されている。われわれはこのcardiometabolic memory現象に関する無作為化比較対象試験のシステマティックレビューを行った。治療介入が終了して血糖、血圧、脂質に対する望ましい治療効果が消失した後でも、その後のフォローアップで心血管イベントの予防効果が認められることをcardiometabolic memory有りと定義した。2000年以降に発表された907の論文を検討した結果、21(血糖8、血圧6、脂質7)の論文でcardiometabolic memoryを認めた。一時的な厳格血糖降下により細小血管障害予防効果は迅速に認められるのに対し、大血管障害予防効果発現には長い期間を要することが示された。また、一定期間の厳格な降圧、LDL-コレステロール低下療法はいずれもその後の心血管イベントを強力に抑制できること、厳格降圧は慢性心不全予防に特に有効であることが示された。

業績

  1. Nishimura T, Tanaka M, et al. Serum total bilirubin concentration in patients with type 2 diabetes as a possible biomarker of polyvascular disease. Diabetol Int (2017) https://doi.org/10.1007/s13340-017-0337-8
  2. Itoh H, Kurihara I, Miyashita K, Tanaka M. Clinical significance of ‘cardiometabolic memory’: a systemic review of randomized controlled trials. Hypertens Res 40(6): 526-34, 2017
  3. Tanaka M, et al. Effects of cilnidipine on sympathetic nerve activity and cardiorenal function in hypertensive patients with type 2 diabetes mellitus: association with BNP and aldosterone levels. Diabetes Res Clin Pract 106(3), 504-10, 2014
  4. Kobayashi S, et al. Mechanisms of progesterone receptor inhibition of inflammatory responses in cellular models of breast cancer. Mol Endocrinol 24(12):2292-302, 2010
  5. Kobayashi S, et al. Characteristics of agranulocytosis as an adverse effect of antithyroid drugs in the second or later course of treatment. Thyroid 24: 796-801, 2014
  6. Kobayashi S, et al. A case of familial dysalbuminemic hyperthyroxinemia (FDH) in Japan: FDH as a possible differential diagnosis of syndrome of inappropriate secretion of thyroid-stimulating hormone (SITSH). Endocr J 64(2):207-212, 2016