伊藤新

留学の魅力は?

サイエンスとして医学をとても深く究められること。

現在の所属・職位は?

Division of Immunology, Allergy and Rheumatology, Department of Internal Medicine, University of Cincinnati で Postdoctoral fellowとして研究しています。

先生の留学までの経歴および留学先を決めた経緯は?

元来1型糖尿病の成因と根治治療に大変興味があり、医学生のときの自主学習で内分泌代謝内科で研究させて頂きました。2年間の初期臨床研修のあと、内科の後期研修医として1年間慶應病院の内科をローテーションしたのちに大学院に進学して腎臓内分泌代謝内科に入局しました。糖尿病専門医になるべく臨床の研鑽を積むのと同時に、脂肪肝における肝内獲得免疫系の役割をテーマに研究し、免疫学と代謝学の両方を深く勉強できました。その後東京歯科大学市川総合病院に1年半出向したのちに留学することになりました。慶應での研究グループリーダーの入江潤一郎先生が2003-2005年に当時はピッツバーグ大学に所属していたWilliam Ridgway先生のもとに留学して自己免疫の研究をされており、入江先生の紹介でこの度Ridgway先生の研究室に留学できることとなりました。

留学先での研究のテーマは?

当研究室ではCD25陽性CD137 陽性調節性T細胞から分泌される可溶性CD137が1型糖尿病モデルであるNODマウスの糖尿病発症を抑制することを以前報告しており、私はその作用機序の解明とヒト1型糖尿病の治療手段への応用をテーマに毎日研究に勤しんでおります。

留学先で研究生活や日常生活で楽しいこと・辛いことは?

多人種で異なるバックグラウンドを持った沢山の同僚や研究者たちとディスカッションする機会に恵まれていることや、隣接するCincinnati Children’s Hospitalと共用で最先端の研究機器が利用可能であることなど、とても充実した研究生活を送っています。もう少し英語が上手だったらなお良し、と感じることは毎日あります。。。日常生活では広大なアメリカのどこまでも続く道をドライブしたり、大自然を満喫したりして気分転換にも事欠きません。また私は1型糖尿病患者として、アメリカの糖尿病医療システムを体験できることも大きなプラスとなっていると感じています。

後輩医師・医学部生へのメッセージ

現代ではインターネットの普及により海外に直接行かずとも、容易に交流でき、有益な情報を手に入れられる時代となりました。しかし、実際に異国のシステムの中で専門性を発揮して当地で一役を担う経験は実際に留学しないとできないとても有意義なことかと思います。