木内謙一郎

木内謙一郎

留学の魅力は?

様々なことに集中して取り組みやすい環境が魅力であると思います。

現在の所属・職位は?

Center for Epigenetics and Metabolism, University of California, IrvineでAssistant specialist (ポスドク)として仕事をしています。

先生の留学までの経歴および留学先を決めた経緯は?

内科入局と同時に当科の大学院に進学し、伊藤裕教授のご指導のもとで学位を取得後、2年ほどかけて留学の準備を進めました。具体的には、伊藤教授より概日リズムの分野での留学を薦めて頂いたため、国内の概日リズムの研究者のもとを訪問して研究の話を伺い、概日リズムを特に代謝の観点で研究している国内外のラボをご紹介頂きました。最終的に米国の二つのラボを候補として面接を受け、現在留学中の研究室にマッチしました。

留学先での研究のテーマは?

地球上の生物は地球の自転に伴う昼夜(明暗)のサイクルのもとで生息していますが、ヒトを含め幅広い生物でこの昼夜のリズムに同期する形で睡眠、栄養摂取、活動性などにもリズムが認められます。当科が対象とする病態の多くに共通する概念として、変化する環境に対して体内環境を一定の範囲内に維持しようとする恒常性(ホメオスターシス)とその破綻が挙げられますが、我々が備え持っている概日リズムはあえて自らにリズムという形で変化を持たせることで、昼夜のリズムとそれに伴って起こる環境変化に適応するための恒常性維持機構の一つであると考えられています。ヒトを含む哺乳類では、網膜からの光情報と共に食事のタイミングが概日リズムの維持に重要であることが示唆されていますが、シフトワークや夜食などが原因による概日リズムの乱れは、代謝障害やがんの発症リスクを上昇させることが近年の疫学的調査から示唆されています。現在留学中の研究室では、食事の種類やタイミングを介した様々な代謝の変化が遺伝子発現調節に及ぼす影響を概日リズムの観点から検討しています。特に細胞内外の栄養情報がどのように分子時計や代謝関連転写因子に統合され、概日リズムの形成と維持に深く関与しているかについて検討しています。

留学先で研究生活や日常生活で楽しいこと・辛いことは?

日本とは異なる社会、文化、気候のもとで、様々な国から来ている多様な人と一緒に仕事ができることが楽しい点であると思います。逆に言葉の問題や社会システムの違いから、日本では経験しないと思われるようなことに苦労することもあります。

後輩医師・医学部生へのメッセージ

臨床に従事する医師として、ある期間研究に集中して取り組むことができる留学経験は、その後の臨床診療に深みを持たせてくれるのではないかと思います。留学に少しでも興味がある方は、是非検討して頂ければと思います。