糖尿病性腎症における尿中腎上皮細胞マーカーの変動についての横断研究に対するご協力のお願い

本研究は慶應義塾大学医学部倫理委員会の承認を得た研究です。慢性腎臓病(特に糖尿病性腎症)における新規尿中細胞マーカーについて検討を行うものであり、慢性腎臓病で当科を受診されている皆様の御協力をお願い申し上げます。

1 研究目的

慢性腎臓病患者数は世界的にも、日本においても増加傾向にあり、早期診断・治療法の確立は喫緊の課題です。私達はこれまで、慢性腎臓病において、「エピゲノム調節*」を介した腎糸球体上皮細胞**の変化と慢性腎臓病の病態との関連について検討を行ってきました。その結果に基づいて、非常に低侵襲に行うことができる尿検査により、慢性腎臓病(特に糖尿病性腎症)の早期診断あるいは今後の経過の予測が可能となるマーカーを探索することを本研究の目的としております。

*エピゲノム調節:遺伝子配列(ゲノム)情報とは別の遺伝子発現の調節メカニズムを指します。
**腎糸球体上皮細胞:腎臓の中にある血液ろ過装置である糸球体を構成している細胞(右図)です。

2 研究協力の任意性と撤回の自由

本研究への御参加・御協力に対して、同意・不同意に関わらず不利益は一切ございません。また治療方針に関連は一切ございません。一旦同意していただいたのちに撤回することも可能です(ただし撤回の時期が、研究結果の公表後となった場合は、撤回の効力は実質上なくなります)。

3 研究方法・研究協力事項

研究実施期間:許可日から2022年5月1日まで
研究方法:慢性腎臓病を含む生活習慣病で、当院腎臓内分泌代謝内科外来に通院されている方を対象としております。提出いただきました尿検体からRNA(遺伝子からある分子を作る時に作成される産物)を抽出し、その量をPCR法で検討し、既往歴や腎機能、内服薬との関連を検討します。
研究協力事項: 50ml程度の自然尿をご提出ください。

4 研究対象者にもたらされる利益および不利益

この研究の結果が、将来の慢性腎臓病、糖尿病性腎症の診断・治療法に役立つ可能性はありますが、本研究に参加していただくことによる直接の利益、不利益は特に生じません。

5 個人情報の保護

本研究で取り扱う個人情報は、氏名と診察券番号のみであり、その他の個人情報 (住所、電話番号等)は一切取り扱いません。また、本研究で取り扱う診療情報、尿検体とそこから得られたデータは個人情報をすべて削除し、匿名化されたデータとして使用します。個人情報と匿名化データを結びつける情報(連結情報)は、本研究の個人情報管理者が研究終了まで厳重に管理し、研究の実施に必要な場合のみに参照します。また、研究終了5年後に抹消します。

6 研究計画書等の開示・研究に関する情報公開の方法

研究計画書および研究の方法等に関する資料は、他の研究対象者等の個人情報保護あるいは研究の独創性確保に支障がない範囲内で、入手または閲覧していただくことができます。ご希望の場合には、下記実務責任者までご連絡下さい。研究に関しては、院内ポスターの掲示、当科ホームページ掲載を行います。

7 協力者本人の結果の開示

御協力頂いた御本人から、結果開示の請求がある場合、結果を開示いたします。御本人以外からの請求の場合はお答えすることができません。

8 研究成果の公表

研究成果は学術論文として公表する予定ですが、個人が特定されない形での公表です。

9 研究から生じる知的財産権の帰属

研究結果から知的財産権が生じる可能性がありますが、研究協力者には帰属しません。

10 研究終了後の試料取扱の方針

研究終了後、尿およびそこから抽出したRNAの残検体につきましては、個人が特定されない状態として破棄します。ただし残検体は、現時点では特定されない将来の研究に用いられる可能性があります(現時点では明らかになっていない新たなマーカーとなり得る分子が同定された場合、その分子の関与を調べる可能性が想定されます)が、全く目的の異なる研究には保存検体は使用せず、新たに研究を行う場合には改めて倫理審査委員会に審査申請を行うこととなります。

11 費用負担および利益相反に関する事項

試料の分析に関しては、研究助成金を用いて行い、協力していただいた方の負担になることは一切ございません。特に利益相反もございません。

12 問い合わせ先

本研究に関するご質問や確認に関しては、下記にご連絡下さい。
研究実務責任者:林 香
連絡先:慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科 電話03-5363-3796