なぜ歳を重ねると糖尿病や肥満が増えるのか、最近の研究から年齢とともに体内のNicotinamide Adenine Dinucleotide(NAD)という物質が、様々な臓器で減ってしまうことがその原因ではないかと分かってきました。このNADを体中でつくるための材料Nicotinamide mononucleotide(ニコチナミド・モノヌクレオチド(以下NMN)です。NMNは野菜やお肉にも含まれ、また食事に含まれるビタミンB3からも体の中でつくることが出来ますが、NMNだけを十分に補給することで、NADの加齢に伴う減少、そして糖尿病や肥満を予防できることが動物研究からわかってきました。
しかしヒトにおいてはNMNがどのように様々な臓器に影響を与えるかは分かっておりません。そこで当科では、眼科学教室・薬理学教室およびワシントン大学医学部と共同して、NMNがヒトにおいてどのように吸収・代謝されるか、また安全であるかを検討することを目的として研究を行うことといたしました。
NAD関連物質の測定では、塩野義製薬株式会社研究所と共同研究を行います。本研究でNMNの様々な効果と安全性が確認された後には、NMNの機能性表示食品としての認可をめざします。(倫理委員会承認ID:2015-0414、UMIN登録ID:000021309)