腎臓:2026年8月

論文発表(Case Report)

千種尚紀先生

Biopsy-Proven Kidney-Limited Thrombotic Microangiopathy Associated With Bevacizumab and Pegylated Liposomal Doxorubicin: A Case With A Biphasic Clinical Course

掲載誌: CEN Case Reports

概要:卵巣癌に対するベバシズマブおよびペグ化リポソーマルドキソルビシン(PLD)投与後に遷延・増悪した腎障害に対し、腎生検を施行した症例です。光顕でベバシズマブを示唆する所見(PAS陽性pseudothrombi)と、電顕でPLDを示唆する所見(liposome-like particles)を認め、腎限局性TMAに対して両薬剤の関与を疑わせる特徴的な病理像を捉えました。薬剤性の腎限局性TMAの診断において、臨床経過と病理所見の重要性を示す教訓的な症例でした。

論文発表(Original Article)

満野竜ノ介先生

Mental Disorders and Subsequent Kidney Function Decline: A Nationwide Cohort Study in Japan

掲載誌: General Hospital Psychiatry

概要:全国規模のレセプトデータと健診データを連結した約300万人のコホートを用い、精神疾患とその後の腎機能低下(eGFR 30%以上低下、末期腎不全、腎代替療法導入)との関連を網羅的に検討した大規模リアルワールド研究です。精神疾患をICD-10に基づき10群に分類して解析した結果、精神疾患を有する群では腎イベントのリスクが有意に高く、特にパーソナリティ障害、器質性精神障害、摂食障害で高リスクであること、また複数の精神疾患を併存するほどリスクが上昇することを示しました。精神疾患を有する成人に対して腎機能のサーベイランスを日常診療に組み込む必要性を示唆する、非常に興味深い研究です。