当腎臓内分泌代謝内科は、腎臓・内分泌代謝の2部門それぞれが高い専門性を有し、臨床・研究に取り組んでおります。その上で、両部門が垣根なく、1つの科として機能していることが大きな特徴であり、強みです。
腎臓部門は、高血圧症・慢性腎障害、電解質異常・急性腎障害、血液透析・腹膜透析など幅広く診療を行っております。腎臓診療の基盤として、腎生検、経皮的血管形成術(PTA)、長期留置カテーテル挿入術、腹膜透析カテーテル留置術などの手技を独自に実践しています。さらに、これまで原因不明と考えられてきた腎疾患を克服すべく、遺伝性腎疾患、多発性嚢胞腎外来などの専門外来を設置し、今後拡充してまいります。腎疾患の原因・重症度に応じ、栄養相談、看護相談、腎臓病教室、腎代替療法選択外来で、患者さんと医療者が時間をかけて向き合うことで、腎臓病に対する理解を深め、安心して医療を受けていただけるように努めております。人生100年時代を迎え、多様化している患者さんと医療者の価値観を融合させ、全人的で親身な医療の実践を目指します。
内分泌代謝部門では、第一に糖尿病領域として、糖尿病先制医療センターを立ち上げ糖尿病患者さんに対する多面的診療に注力しています。高度専門性と多職種医療者の協力体制により、糖尿病患者さんに対して個別化された最適・最先端の医療の提供を目指しています。また、専門外来として1型糖尿病・フットケア・肥満外来なども設置し、代謝性疾患の問題点に特化した診療も提供しています。
第二に内分泌領域では、院内の様々な関連科との連携を強化することで、視床下部下垂体・甲状腺・副甲状腺・副腎・骨・性腺など全身の幅広い臓器に及ぶ多様な内分泌疾患に対して網羅的な診療を実現しています。臓器毎の他科連携カンファレンスの定期開催、内科での甲状腺穿刺吸引細胞診、原発性アルドステロン症に対する最新治療である副腎ラジオ波焼灼術など、大学病院の強みを生かしたオールラウンドな内分泌診療を提供しています。
そして腎臓・内分泌代謝の両部門が1つの科として機能することで、境界領域の多様な電解質異常・二次性高血圧・糖尿病性腎症などに対しても多角的な視点でアプローチできることが大きな強みと言えます。
研究について
研究面においては両部門がより強く協調し、慢性腎障害や1型糖尿病などの各疾患特有の病態研究に加えて、糖尿病性腎症、代謝異常がもたらす腎障害・免疫異常といった腎臓内分泌代謝内科としての特性を生かした基礎研究にも取り組んでいます。また、多くの患者さんがいらっしゃる大学病院として、臨床への直結・還元に重点を置きながら臨床検体・データを活用した臨床研究も行うことで、腎臓内分泌代謝診療の発展に向けて一丸となって取り組んでいます。