現在世界中で糖尿病患者数は増加の一途を辿っており、その予防は大変重要な課題です。近年糖尿病のさまざまな病態で、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの不足がその特徴であることが指摘されています。

インスリンは膵臓の中にあるβ細胞から分泌されるため、β細胞の病態を解明することが重要ですが、β細胞の観察は組織学的にしか行えないため、現在でも不明な点が多くあります。そこで我々は、当院で病理解剖を受けられた患者様の、病理診断に使用された剖検標本の一部を研究用の試料としてご提供頂くことで糖尿病を含む様々な内分泌疾患、代謝性疾患および成人病などでの膵内分泌細胞の生理的・病的変化について組織学的検討を行います。

また、生前の診療記録より得られる臨床情報との関連について検討を行います。それらの検討により膵内分泌細胞の生理的・病的変化を明らかとすることで、将来糖尿病をはじめとする成人病の発症予防・治療戦略に役立つ知見を得ることを目的としています。(倫理委員会承認ID:2012-0475)。