神経心理検査を行うとともに、神経心理機能と関連があるといわれている遺伝子やホルモンの測定を行うことで、食事や運動などの生活習慣の修正に必要な神経心理機能を評価する研究を行っております。(倫理委員会承認ID:2013-0391)
肥満症による様々な合併症の改善には減量が有効ですが、食事や運動などの生活習慣の修正は難しく、減量に継続して成功するのは困難です。その原因として、肥満の方では認知機能のうち、特定のことを行うのを苦手とする傾向にあるのではないかと考えられています。しかし世界的にもまだデータが不足しており、日本でのデータはありません。本研究では肥満症の方の認知機能を評価するとともに、体重変化に伴いこれらの認知機能が変化するのかを調査します。同時に行う血液検査では、一般的な生化学的項目に加え、DNAを抽出し肥満の方の認知機能と関係があるとされるthe fat mass and obesity associated gene(FTO)遺伝子の遺伝子多型の検討と、血中レプチン・アディポネクチン値の解析を行います。これらは肥満症や認知機能と関連があるといわれている遺伝子やホルモンです。また、体重やウエスト周囲径の変化、血液や尿の検査も行います。また、不眠症があると、神経心理学的検査のスコアが影響を受けることが報告されているため、睡眠状況についての質問票にも答えて頂きます。これらの検査を通じて、将来、肥満症のより有効な治療法の開発につなげたいと考えています。
初回時以降、約6か月ごとに1年間に渡り(0ヶ月目、6ヶ月目、12ヶ月目の計3回)、睡眠調査票への記載を行っていただいた後、神経心理学的検査(どのようなことを行うのが得意か苦手かを検査するもの)を行います。この検査は睡眠調査票と併せて約1時間の時間を要します。また、診療データをカルテや質問票を用いて集めるとともに、血液を採取して検査をします。血液検査は外来診療で採血する分とは別に、初回時のみ採血管2本分(約16cc)を、6ヶ月目、12ヶ月目には採血管1本分(約8cc)を採取させていただきます。採血の方法は通常の検査の時の採血と同じで中央採血室で行います。本研究への参加は、肥満症の認知機能に関する理解が深まることに役立ちますが、現時点であなたに対して直接の利益はありません。
睡眠調査票および神経心理学的検査の結果はご希望に応じてお伝えいたします。FTO遺伝子多型や血中レプチン・アディポネクチン値についてもご希望に応じて結果をお伝えしますが、肥満症や肥満症の認知機能にどのように関係するのかについては完全には明らかにはなっておりません。本研究では、初回時は約8cc×2本、6ヶ月目および12ヶ月目には約8cc×1本の採血をさせていただきます。また、睡眠調査票および神経心理学的検査は記入および回答に約1時間の時間を要します。ご負担を軽減するために、血液検査は中央検査室で行い、出来る限り外来診療の採血と同時に行います。
採血の方法は日常診療の際と同じであり、採血に伴って内出血、ひじの神経を傷つける、血圧低下、などの可能性がありますが、熟練したスタッフが行うことによりこれらの可能性は少なくなると考えられます。また、睡眠調査票および神経心理学的検査の施行は出来る限り外来診療の採血・検尿結果を待つ時間を利用して行います。本研究の内容に関するお問い合わせは研究実施責任者 入江潤一郎(03-5363-3797 直通)までお願い致します。