内分泌代謝学は生命の恒常性を維持し、人々の健康の基礎を築く非常に重要な分野です。内分泌代謝の不調は全身に及ぶため、全身を診る内科学らしい分野となります。未病といわれるような病気と健康の境目のような状態から、心血管疾患、悪性腫瘍など全身の臓器障害をきたすような進行した病態までをカバーし、また、加齢や認知機能とも深く関与しています。いわゆる「手技」は多くありませんが、医学的知識、診察や問診などの手法、治療法など経験を積むとともに自分なりの診療を深めていくことができます。急性期病院で研修を始めた医師になったばかりの時は「病院での医療」しか見えませんが、個々人の病を癒し、健康を守るという視点だけではなく、地域や社会全体での医療を鳥瞰し社会福祉に貢献するという広い視点も医師には求められます。地域での医療、産業医など職域での医療、病気と診断される以前からの予防、もちろん病院での医療、全てにおいて幅広い視野を持って活動することができる領域です。

慶應義塾大学病院では入局後、関連病院などで幅広い内科医としての経験を積み、大学に帰室後病棟の入院患者の主担当医として、それぞれの分野の専門医が指導する下で内分泌疾患、代謝疾患の患者を受け持ちます。経験する頻度の高い疾患は内分泌疾患では原発性アルドステロン症、クッシング症候群などの副腎疾患や下垂体疾患、代謝領域では1型、2型糖尿病とその合併症となります。他の科に入院中の内分泌代謝疾患をもつ患者のコンサルテーション診療(併診)が非常に多いことも特徴で、急性期疾患・外科手術における糖尿病管理やステロイド補充、妊娠糖尿病管理などを多く経験します。病棟カンファレンスを通じて各症例の経験を共有しています。令和5年度からの働き方改革も鑑み、チーム制の診療体制をとり、お互いの不在を病棟支援担当医師が補う形で時間外労働が過剰とならないよう工夫しています。出産後の女性医師もこの体制下で専門研修を継続できるように配慮しています。また、外来で完結することが多くなっている当診療分野の専門診療経験を積んでいくため、1型糖尿病チームとして外来での1型糖尿病診療、特にインスリンポンプ診療に参加したり、内分泌分野では甲状腺生検に携わったりする機会も作っています。

大学院に所属しない場合、継続して病棟の主担当医を支援する形で入院診療に携わります。学年が上がるに従いコンサルテーションや外来診療においてより責任ある立場となります。また、メンターの指導の下臨床研究を行います。大学院に所属する場合は、研究指導医の下基礎または臨床研究に4年間従事することになります。この間、非大学院生と比較し負担は軽減されますが、一定の臨床活動は継続し、医師としての経験を積んでいくこととなります。

年限が終了した場合、国内外への留学や関連病院への出張を選択します。関連病院は都内を中心に図のように分布しています。本研究室のOBも、各地域でのこの分野の中心として活躍する病院やクリニックでの臨床医、大学での研究者、企業での産業医などと多岐にわたります。

年次予定

入局後3~4(5)年目 慶応関連病院 ローテーション

卒後5(6)年目慶應義塾大学病院
病棟研修(本診、併診)(主担当医)
外来支援
卒後6(7)年目慶應義塾大学病院
病棟支援(本診、併診)
外来支援、他科コンサルタント
内科専門医/内分泌代謝・糖尿病専門医取得
卒後7(8)年目慶應義塾大学病院
病棟支援(本診、併診)
外来担当
糖尿病学会専門医取得
その後関連病院出張、留学など
大学院生は、卒後5(6)年目より4年間の研究開始となります。

内分泌代謝グループ関連施設

東京都

  • 済生会中央病院
  • 済生会向島病院
  • 北里研究所病院
  • 都立大塚病院
  • 国家公務員共済組合連合会立川病院
  • 国立病院機構東京医療センター
  • 国際医療福祉大学三田病院
  • 練馬総合病院
  • 荻窪病院

神奈川県

  • 横浜市立市民病院
  • 川崎市立川崎病院
  • 川崎市立井田病院
  • 日本鋼管病院
  • けいゆう病院

埼玉県

  • 埼玉メディカルセンター
  • さいたま市立病院
  • 防衛医科大学校
  • 埼玉医大

千葉県

  • 東京歯科大学市川総合病院

栃木県

  • 佐野厚生総合病院