腎臓は全身の臓器と連携し、生体内の恒常性維持を担う重要な臓器です。「生体内の司令塔」である腎臓の機能を正しく理解するには、腎臓から全身を診る・全身から腎臓を診るという、まさに“内科医”としての幅広い知識・思考が必要です。腎臓内科が扱う領域は広範で、電解質・酸塩基平衡異常,AKI/CKD,腎炎・腎病理,腎代替療法,高血圧などが挙げられます。これらを理解し、生涯にわたり学び続け、自身の知識・思考を磨いていくことが求められます。CKD診療においては、予防から始まり、治療・合併症管理、そして腎代替療法と、長期にわたり患者さんに寄り添う医療を必要とします。William Oslerの言葉に“The good physician treats the disease; the great physician treats the patient who has the disease.”とありますが、腎臓内科は腎臓だけでなく、病をかかえた患者さんそのものを診る診療科でありたいと願っています。
当科では、入局後に関連病院での研修を通して幅広い経験を積み、腎臓内科医として必要な知識・思考を磨きます。大学への帰局後は、チーフ・サブチーフと共に病棟の入院患者を担当し、上級医とのディスカッションや病棟カンファレンスを通じて、一つ一つの症例を深く学び、将来臨床医として活躍するための基盤を築いていきます。専門性の高い領域についても、専門家から直接訓練を受けられます。腎炎・腎病理に関しては、全ての腎生検症例を担当医がプレゼンテーションし、診断のアプローチや治療方針の決定について、指導やディスカッションを受けます。月に2回、関連病院との共同で開催する腎生検症例カンファレンスでは、多数の症例・経験を共有し、腎病理医からの指導を受け、知識や理解をさらに深めます。腹膜透析(カテーテル挿入を含む)管理やバスキュラーアクセスなどのインターベンショナルネフロロジーに関しても、実践を通して修練を積むことが可能です。当科では、このように、幅広くかつ深遠な「腎臓内科」の魅力を十分に経験できます。
大学での診療はチーム制で行われ、夜間・休日の診療はオンコール及び当番制となっています。時間外の労働を極力減らし、出産後の女性医師もこの体制下で専門研修を受けることができるように最大限の配慮を行っています。学年が進んだ後も、他科からのコンサルテーションへの対応,外来診療,サブチーフとしての病棟担当など、常に臨床医として活動する機会を提供しています。また、「臨床医」ならではの視点で基礎または臨床研究に挑戦できる環境を整備し、研究を通じて世界にエビデンスを発信できるように指導しています。大学での研修や大学院を修了した後は、国内外への留学や関連病院への出張を選択できます。関連病院は、後進の育成に熱心であり、各地域の拠点として活躍する病院ばかりです。
年次予定
大学院に入学しない場合の一般的なスケジュール
入局1~2年目 (卒後3~4年目) | 関連病院での研修 |
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入局3年目 (卒後5年目) | 慶應義塾大学病院 病棟診療 (一定期間、関連病院での研修を行う場合がある) |
入局4年目 (卒後6年目) | 慶應義塾大学病院 他科コンサルテーション対応 研究活動 |
入局5年目 (卒後7年目) | 慶應義塾大学病院 他科コンサルテーション対応・外来診療 研究活動 |
その後 | 関連病院出張、留学など |
大学院に入学する場合
大学院には原則入局後3年目あるいは4年目で入学し、病棟担当を終えた後、研究を中心に活動します。
腎臓グループ関連施設
東京都
- 済生会中央病院
- 東京医療センター
- 国家公務員共済組合連合会立川病院
- 北里大学北里研究所病院
- 日野市立病院
- 永寿総合病院
神奈川県
- 川崎市立川崎病院
- 川崎市立井田病院
- けいゆう病院
- 平塚市民病院
埼玉県
- JCHO埼玉メディカルセンター
千葉県
- 東京歯科大学市川総合病院
- 東京ベイ浦安市川医療センター
栃木県
- 佐野厚生総合病院
静岡県
- 静岡赤十字病院