腎生検とは
腎生検は、腎臓の病気や異常を詳しく診断するための重要な検査です。腎臓は体内の老廃物や余分な水分を取り除き、血液中の塩分や酸性度を調整する重要な器官であり、その働きが正常でないと様々な健康問題を引き起こす可能性があります。腎臓の機能が低下すると腎臓の機能の代替を担う治療(血液透析、腹膜透析、腎移植)が必要となりますが、腎臓疾患は進行が遅く、初期段階では症状が現れにくいため、早期発見と適切な治療が重要です。血液検査や尿検査等で腎臓の病気の原因やその進行度の当たりをつけることはある程度はできますが、確定診断のためには腎生検は欠かせない検査となります。
当院では、尿検査や血液検査で腎臓の病気が疑われる患者さんが多く来院されます。外来での診察の上、腎生検が必要とされる患者さんを慎重に選定し、検査の必要性について担当医師が丁寧に説明を行います。腎生検は患者さんの安全を確保するために慎重に行われますが、検査前には患者さんに対して、起こりうる合併症やリスクについて詳細に説明し、十分な納得を得てから、行います。
通常は、月曜入院後、火曜日あるいは木曜日入院後、金曜日に腎生検を実施しており、手順は以下の通りです。患者さんはうつぶせになり、超音波で腎臓の位置を確認します。次に局所麻酔を施した部位に針を挿入し、少量の腎臓組織を採取します。採取された組織は顕微鏡で詳細に観察され、病理学的な診断が行われます。検査自体は約30分から1時間程度ですが、出血や感染症のリスクを最小限に抑え、安全を確保するために翌日までの安静と1週間程度の入院が必要です。入院中は、合併症がないか適宜検査を行いながら安静にして過ごしていただきます。
腎生検の結果は、病気の種類や進行度、治療法の選択に重要な情報を提供します。当院では臨床医と腎臓専門病理医が患者さんの病理組織を共同で検討し、最適な治療計画を立案します。これには薬物療法や、栄養療法が含まれます。患者さんと医師との信頼関係が築かれ、共に治療の方針を決定していきます。
腎生検は一般的に安全な検査ですが、稀に合併症が発生することもあります。そのため、患者さんは検査後も定期的に経過観察が必要となります。症状の変化や不安な点があれば、いつでも医師に相談することが重要です。
腎生検は、腎疾患の正確な診断と適切な治療のために欠かせない検査です。当院では患者さんの安全と健康を最優先に考え、丁寧かつ確実な検査を提供しています。ご不明な点やご心配な点があれば、いつでもお気軽に医師やスタッフにご相談ください。