教授挨拶

この度、令和5年4月1日付にて、伊藤裕教授の後任として内科学(腎・内・代)教授ならびに診療科部長を拝命致しました林 香と申します。

当科は、腎臓、内分泌、代謝という3領域を含む、歴史ある診療科として活動して参りました。
糖尿病、脂質異常、肥満、ホルモン異常などの内分泌代謝疾患と、高血圧、腎臓病は、病態の関連性が非常に強いことから、今後も同一診療科であることを生かして連携して診療にあたることにより、病態のより深い理解と質の高い医療を目指して参りたいと思います。
更に、腎臓、内分泌代謝の各診療部門において、OBOGの先生方、関連病院の先生方と、更に密接に連携しながら、専門性の高い診療基盤をより充実させることを目指します。

当科の診療の中心となる腎臓内分泌代謝疾患は、人口の高齢化を背景に昨今増加の一途を辿っており、健康寿命を損なう大きな要因となっております。
この大きな問題を解決すべく、日進月歩で治療戦略は進歩し、予防医学の重要性が認識されるとともに、腎臓病、内分泌代謝疾患の診療も劇的に変化しつつあります。

しかし、まだ疾患のメカニズムについて明らかにはされていない部分が多く眠っている分野でもあり、疾患の進行抑制や検査数値のコントロールにとどまらず、根治を目指した治療法開発のニーズも非常に高い分野と認識しております。
慶應の臨床教室として、診療における最後の砦としての役割と共に、新しい腎臓病学・内分泌代謝学の医療創出に寄与する研究を追求していきたいと考えます。

当科の強みは、多様性を維持できる歴史、文化があり、かつ、各専門分野で活躍する先生方がたくさんいらっしゃることだと思っております。
大学や医療が新しい時代に直面する中、多様性を維持することにより組織のレジリエンスを高め、皆で力を合わせて、次世代の腎臓内分泌代謝学を担う若手の育成に努め、共に学んで参りたいと思います。

最後になりますが、腎臓内分泌代謝疾患は、慢性的に進行する性質を持つものが多く、長期にわたるケアを要するものであることから、これからも私達医療者はそれぞれの患者さんの背景をできる限り理解し、その上で最良の医療が提供できるように、多職種のメディカルスタッフによる包括的なチーム医療を大切にしながら、患者さんの人生の伴走者になれるよう努めたいと思います。今後ともよろしくお願い申し上げます。

令和5年4月 林 香