臨床研究のご案内

腎臓内分泌代謝内科では、患者さんの病態解明を目指して基礎研究を行っております。こうした基礎研究から得られた新しい知見を、患者さんおひとりおひとりに還元し、より効果的で安全な治療法に開発を目指し、臨床研究を精力的に行っております。このように臨床研究とは基礎研究から得られた新しい知見を臨床の現場に応用していくもので、患者さんのご協力を頂いて病気に対する新しい治療法を模索していくものです。

当科では、糖尿病・肥満・慢性腎臓病・原発性アルドステロン症・高血圧症の病態解明・新規治療法の開発を目指し、臨床研究を推進しております。臨床研究にご興味を御持ち頂けましたら、担当者までご連絡を頂けると幸いです。

肥満症を対象とした臨床研究

慢性腎臓病を対象とした臨床研究

「DNAメチル化プロファイルを用いたエピゲノム年齢と腎疾患・生活習慣病リスクファクターの関連についての横断研究に対するご協力のお願い」
※現在、一時的に募集を停止しております(2021.5月)。

透析患者様を対象とした臨床研究

糖尿病を対象とした臨床研究

糖尿病患者の臨床的特徴とその予後に関する検討

糖尿病患者さんの様々な臨床指標と合併症などとの関連を研究しています。(倫理委員会承認ID:2009-283)

24時間持続血糖モニターによる血糖変動の評価

24時間血糖血糖モニターによって糖尿病患者さんの一日の血糖変動を評価し、その病態について研究しています。(倫理委員会承認ID:2009-282)

2型糖尿病患者におけるグリニド系薬剤の有効性・安全性の検討

これまでインスリン分泌促進薬(スルフォニル尿素薬、グリニド薬)を使用したことのない2型糖尿病患者さんに対し、グリニド系薬剤(グルファスト®)の有効性・安全性を検討する臨床研究です。(倫理委員会承認ID:2009-284、UMIN登録ID:000003840)

2型糖尿病患者におけるDPP-4阻害薬とインスリンとの併用効果についての検討(EDIT study)

強化インスリン療法中にも関わらず血糖コントロールが不十分な患者さんに対し、インクレチンの作用を増強するDPP-4阻害薬であるシタグリプチン(ジャヌビア®)併用の有効性・安全性を比較検討する臨床研究です。(倫理委員会承認ID:2010-175、UMIN登録ID:000004678)

ヒトの膵内分泌細胞の組織学的特徴と糖代謝異常との関連についての検討

糖尿病は膵臓の内分泌細胞から分泌されるインスリンというホルモンの作用不足により発症します。しかし膵臓の内分泌細胞の様子は膵臓を直接顕微鏡で観察しないと分かりません。そこで当院にて」臓の手術を受けられたあるいは受ける予定の患者様から、手術後の膵組織の一部をいただき、糖尿病など糖代謝異常と膵内分泌細胞の組織像との関連について検討します(倫理委員会承認ID:2012-007)。

膵内分泌細胞の生理的・病的変化に関する検討

現在世界中で糖尿病患者数は増加の一途を辿っており、その予防は大変重要な課題です。近年糖尿病のさまざまな病態で、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの不足がその特徴であることが指摘されています。

インスリンは膵臓の中にあるβ細胞から分泌されるため、β細胞の病態を解明することが重要ですが、β細胞の観察は組織学的にしか行えないため、現在でも不明な点が多くあります。そこで我々は、当院で病理解剖を受けられた患者様の、病理診断に使用された剖検標本の一部を研究用の試料としてご提供頂くことで糖尿病を含む様々な内分泌疾患、代謝性疾患および成人病などでの膵内分泌細胞の生理的・病的変化について組織学的検討を行います。

また、生前の診療記録より得られる臨床情報との関連について検討を行います。それらの検討により膵内分泌細胞の生理的・病的変化を明らかとすることで、将来糖尿病をはじめとする成人病の発症予防・治療戦略に役立つ知見を得ることを目的としています。(倫理委員会承認ID:2012-0475)。

ヒト膵臓容積に関わる因子の解明

本研究では、CT画像より膵臓容積を測定し、年齢、性別、体格指数など各種臨床指標との関連を検討します。(倫理委員会承認ID:2013-0505)。

糖尿病の治療のため、当院に通院された患者さんの 診療情報を用いた医学系研究に対するご協力のお願い

本研究では、患者さんの診療記録より得られる血糖コントロールや合併症の情報から、糖尿病患者さんの現在の治療状況を明らかにすることで、現在の治療の問題点およびそれに対する改善点を検討いたします。

またそれにより得られた知見は学会活動などを通じて広く発信し、我が国の医療全体のレベルアップに貢献することを目的としています。(倫理委員会承認ID:2014-0005)。

原発性アルドステロン症を対象とした臨床研究

副腎疾患の方に診療情報を用いた臨床研究に対するご協力のお願い

当院では、公的な研究費(日本医療研究開発機構研究費 難治性疾患実用化 研究事業)により全国の多数の主要な大学や病院と共同して、原発性アルドステロン症の診療水準を向上するための研究を行っています。このため原発性アルドステロン症の患者様に研究へのご協力をお願い申し上げます。(本研究は、2019年9月20日より、京都大学医の倫理審査委員会に管理が移行いたしました)

内分泌疾患の病態形成の解明とその応用

終了した臨床研究

アンケートによる減量を目的とする肥満症患者心理および行動の検討

減量のために治療を受けていらっしゃる患者さんにアンケートに回答していただき、肥満症とその治療に関連する現状を知ることで、肥満症治療および療養指導に役立てることを目的とする研究を行っております。(倫理委員会承認ID:2013-0057)

神経心理学的検査による肥満症高次脳機能評価およびFTO遺伝子多型と血中レプチン・アディポネクチン値との相関の検討

神経心理検査を行うとともに、神経心理機能と関連があるといわれている遺伝子やホルモンの測定を行うことで、食事や運動などの生活習慣の修正に必要な神経心理機能を評価する研究を行っております。(倫理委員会承認ID:2013-0391)

糖尿病・メタボリックシンドロームにおける腸内細菌叢の評価

糖尿病やメタボリックシンドロームを有する方の腸内細菌の組成が、血糖値が正常な方と異なることが近年指摘されております。この腸内細菌の違いを知ることを治療に応用することを目指した研究を行っております。(倫理委員会承認ID:2010-028)

コレバインの代謝指標への影響の評価

「コレバイン(コレスチミド)」は高脂血症(脂質異常症)のお薬で古くから使用されておりますが、最近このコレバインにより糖尿病が改善する可能性があることが分かってまいりました。そこで当院ではコレバインを今までに服用されたことがある患者さんを対象に、コレバインを内服された前後の血糖値やコレステロール値などの値をカルテ(診療記録)から調べさせて頂き、コレバインが血糖管理を良くする効果について調査を行い、より良い糖尿病の治療に役立つ研究を行っております。(倫理委員会承認ID:2012-0229)

STAR CAST試験

FANTASY試験

過体重2型糖尿病患者を対象としたリラグルチドおよび高用量メトフォルミン投与の有効性に関する比較検討(KIND-LM Study)(本研究は募集を終了いたしました)

これまでインスリン分泌促進薬(スルフォニル尿素薬、グリニド薬)を使用したことのない過体重(BMI23.5以上)の2型糖尿病患者さんに対し、インクレチン製剤であるリラグルチド(ビクトーザ®)と高用量のメトフォルミン(メトグルコ®)の有効性・安全性を比較検討する臨床研究です。(倫理委員会承認ID:2010-050、UMIN登録ID:000004243)

生体内物質 Nicotinamide mononucleotide(NMN)の健常者に対する安全性確認試験(Nicotinamide mononucleotide(NMN)の機能性表示食品開発を目指した メタボリックシンドローム関連指標改善の臨床試験)

なぜ歳を重ねると糖尿病や肥満が増えるのか、最近の研究から年齢とともに体内のNicotinamide Adenine Dinucleotide(NAD)という物質が、様々な臓器で減ってしまうことがその原因ではないかと分かってきました。このNADを体中でつくるための材料Nicotinamide mononucleotide(ニコチナミド・モノヌクレオチド(以下NMN)です。NMNは野菜やお肉にも含まれ、また食事に含まれるビタミンB3からも体の中でつくることが出来ますが、NMNだけを十分に補給することで、NADの加齢に伴う減少、そして糖尿病や肥満を予防できることが動物研究からわかってきました。

しかしヒトにおいてはNMNがどのように様々な臓器に影響を与えるかは分かっておりません。そこで当科では、眼科学教室・薬理学教室およびワシントン大学医学部と共同して、NMNがヒトにおいてどのように吸収・代謝されるか、また安全であるかを検討することを目的として研究を行うことといたしました。

NAD関連物質の測定では、塩野義製薬株式会社研究所と共同研究を行います。本研究でNMNの様々な効果と安全性が確認された後には、NMNの機能性表示食品としての認可をめざします。(倫理委員会承認ID:2015-0414、UMIN登録ID:000021309)

過去の肥満歴と糖尿病合併症に関する調査研究

2型糖尿病と肥満の間に密接な関連があることはよく知られていますが、日本人糖尿病では以前に肥満していた時期はあるもののその後正常体重である方が多く見受けられます。

一度も肥満したことがない方、過去に肥満がありその後痩せてきた方、肥満が持続している方の間でその後の合併症に対するリスクとして差があるかは十分に検討されていません。済生会中央病院と共同で過去の医療情報を用いてこの関連性を調査研究し、糖尿病合併症の発症メカニズムの解明や発症の予測に貢献することを目的とします。(倫理委員会承認ID:2012-0305)。