慢性腎臓病の診断のため、当院で過去に腎生検を施行された 患者さんの腎生検検体・診療情報を用いた医学系研究に対する ご協力のお願い
このたび当院では、上記のご病気で入院された患者さんの腎生検検体・診療情報を用いた下記の医学系研究を、医学部倫理委員会の承認ならびに病院長の許可のもと、倫理指針および法令を遵守して実施しますので、ご協力をお願いいたします。
この研究を実施することによる、患者さんへの新たな負担は一切ありません。また患者さんのプライバシー保護については最善を尽くします。
本研究への協力を望まれない患者さんは、その旨を「8 お問い合わせ」に示しました連絡先までお申し出下さいますようお願いいたします。
1 対象となる方
西暦2015年1月1日より2017年12月31日までの間に、腎臓内分泌代謝内科にて慢性腎臓病の診断のため入院し、腎生検を受けた方
2 研究課題名
承認番号 20180159
研究課題名 「腎糸球体疾患におけるDNA損傷とエピゲノム変化の関連の検討」
3 研究実施機関
慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科
4 本研究の意義、目的、方法
研究の意義・目的
慢性腎臓病患者数は世界的にも、日本においても増加傾向にありますが、新たな診断法・治療法の確立は喫緊の課題です。
私達はこれまで、慢性腎臓病において、「DNA損傷*」や「エピゲノム調節**」を介した腎糸球体上皮細胞***の変化と慢性腎臓病の病態との関連について検討を行ってきました。その結果に基づいて、特に尿蛋白を呈する糸球体疾患において、DNA損傷の程度とエピゲノム変化の程度との関連を検討することにより、DNA損傷やエピゲノム変化を標的とした新たな治療法・診断法の可能性を探索することを本研究の目的としております。
エピゲノム年齢にはいくつか算出方法がありますが、日本人で検討したものはなく、また腎機能や生活習慣病のリスクファクターの存在とどのように関連しているかについては明らかになっておりません。
* DNA損傷:細胞の核にはDNAが含まれていますが、DNAの損傷が様々な疾患に関与していることが知られています。
**エピゲノム調節:遺伝子配列(ゲノム)情報とは別の遺伝子発現の調節メカニズムを指します。
***腎糸球体上皮細胞:腎臓の中にある血液ろ過装置である糸球体を構成している細胞(図)です。
方法
当院腎臓内分泌代謝内科で2015年から2017年に腎生検を施行された方を対象としております。
診断のために腎生検の検体から、光学顕微鏡検査、免疫蛍光染色、電子顕微鏡検査を行っておりますが、保管されております余剰検体を用いて免疫染色および定量PCR法を行います。
それによりDNA損傷状態やエピゲノム変化を検討し、疾患の種類や組織所見、腎機能等との関連を検討したいと考えております。
*定量PCR法:polymerase chain reaction法により微量のDNA断片を増幅させて、増幅される量を測定する方法。
5 協力をお願いする内容
過去の腎生検の余剰検体を使用させていただきます(今回、研究のために新たに御供与頂くものはございません)。また電子カルテで診療情報(診療記録・臨床検査データ)の参照を行います。
6 本研究の実施期間
許可日〜2022年4月1日まで
7 プライバシーの保護について
1) 本研究で取り扱う患者さんの個人情報は、氏名および患者番号のみです。その他の個人情報(住所、電話番号など)は一切取り扱いません。
2) 本研究で取り扱う患者さんの腎生検検体・診療情報は、個人情報をすべて削除し、第3者にはどなたのものか一切わからない形で使用します。
3) 患者さんの個人情報と、匿名化した腎生検検体・診療情報を結びつける情報(連結情報)は、本研究の個人情報管理者が研究終了まで厳重に管理し、研究の実施に必要な場合のみに参照します。また研究計画書に記載された所定の時点で完全に抹消し、破棄します。
4) なお連結情報は当院内のみで管理し、他の共同研究機関等には一切公開いたしません。
8 お問い合わせ
本研究に関するご質問や確認に関しては、下記にご連絡下さい。
また本研究の対象となる方またはその代理人(ご本人より本研究に関する委任を受けた方など)より、試料・情報の利用の停止を求める旨のお申し出があった場合は、適切な措置を行いますので、その場合も下記へのご連絡をお願いいたします。
研究実務責任者:林 香
連絡先:慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科
電話:03-5363-3796(10:00~16:00)
メールアドレス:kaorihayashi@keio.jp